7.3. 計算

ローン債務償還計画、定期返済額、総支払額、または利率に関して決定することは、少し複雑です。 GnuCashには、この種の計算を容易にするための、内蔵の財務計算機があります。 財務計算機にアクセスするためには、ツール財務計算機を選択してください。

財務計算機

GnuCash財務計算機

財務計算機は、支払期間利率現在価値定期的支払額将来価値のうち4つのパラメータを与えると、残りの一つを計算します。 複利計算方法と支払い方法も指定する必要があります。

7.3.1. 例: 毎月払い

100,000ドルを30年間、4%の固定金利、毎月の複利計算で毎月払いにした時、毎月の支払額はいくらでしょうか?

この例のシナリオでの画像は前のようになります。 この計算を実行するために、支払期間に360(12カ月x30年間)を入力、利率に4を入力、現在価値に100000を入力、定期的支払額に何も入力しない、将来価値に0を入力します(ローンの終了のときに何も借りていません)。 複利の設定は離散、毎月にします。期間の設定は末日、毎月にします。 そして支払合計の横にある計算ボタンを押します。 定期的支払額に-477.42が表示されます。

答え: 毎月払い金額は477.42ドルになります。

7.3.2. 例: ローンの期間

20,000ドルのローンを返済するのに、10%の固定金利、毎月の複利計算、1カ月あたり500ドル支払うなら、どれくらいの期間がかかるでしょうか?

この計算を実行するためには、支払期間を空白にします。利率に10を入力します。現在価値に20000を入力します。定期支払額に-500を入力します。そして将来価値に0を入力します(ローンの終了のときに何も借りていません)。 複利の設定は離散、毎月にします。期間の設定は末日、毎月にします。 そして支払合計の横にある計算ボタンを押します。 支払期間に48が表示されます。

答え: 4年(48カ月)後にローンを完済します。

7.3.3. 発展: 計算の詳細

財務計算機で使用される数式を説明するためには、まず、いくつかの変数を定義しなければいけません。


 n  == 支払期間の数
 %i  == 表面利率、NAR
 PV  == 現在価値
 PMT == 定期支払額
 FV  == 将来価値
 CF == 1年あたりの複利計算の頻度
 PF == 1年あたりの支払い頻度

CFとPFの標準の値はそれぞれ次の通りです。
   1   == 毎年
   2   == 年2回
   3   == 年3回
   4   == 四半期ごと
   6   == 2カ月ごと
   12  == 毎月
   24  == 月2回
   26  == 隔週
   52  == 毎週
   360 == 毎日(360)
   365 == 毎日(365)

7.3.3.1. 表面利率と実効利率の間の変換

n、PV、PMTまたはFVを求める時には、最初に表面利率(i)を、支払いの期間あたりの実効利率(ieff)に変換しなければなりません。 このレート(ieff)は、後に選択された変数を計算するのに使用されます。 iを求める時には、計算によって実効利率(ieff)を求めます。 したがって、iからieffまで変換する機能とieffからiまで計算する機能が必要です。


iからieffまで変換するためには次の式を使用します。
離散的な利率:     ieff = (1 + i/CF)^(CF/PF) - 1
連続的な利率: ieff = e^(i/PF) - 1 = exp(i/PF) - 1

ieffからiまで変換するためには次の式を使用します。
離散的な利率:      i = CF*[(1+ieff)^(PF/CF) - 1]
連続的な利率: i = ln[(1+ieff)^PF]

注記

注意: 以降で説明する、金融取引のための方程式では、すべての利率が実効利率ieffです。 簡潔にするために、文字では単にiと表記します。

7.3.3.2. 基本的な財務方程式

一つの方程式が基本的に5個すべての変数を関連付けます。 これは基本的な財務方程式として知られています。


PV*(1 + i)^n + PMT*(1 + iX)*[(1+i)^n - 1]/i + FV = 0
ここでXは次を表します。

   X = 0 : 支払期間の終了時
   X = 1 : 支払期間の開始時

この方程式からそれぞれの変数を求める関数が導き出されます。 この式を求める方法の詳細についてはGnuCashソースコードのファイルsrc/calculation/fin.cにあるコメントを参照してください。 後の方程式を読むのをより簡単にするために、変数A、B、およびCを最初に定義します。


A = (1 + i)^n - 1
B = (1 + iX)/i
C = PMT*B

n = ln[(C - FV)/(C + PV)]/ln((1 + i)
PV = -[FV + A*C]/(A + 1)
PMT = -[FV + PV*(A + 1)]/[A*B]
FV = -[PV + A*(PV + C)] 

利率のための解は2つの場合に分かれます。
PMT===0 の場合は簡単で、解は次のようになります。
i = [FV/PV]^(1/n) - 1

PMT!=0の場合は非常に複雑であり、ここで記述することはできません。 PMT!=0の場合、正確に求めることができる関数があるのではなく、利率を決定するに反復演算が必要となります。 詳細な説明はsrc/calculation/fin.cソースファイルを参照してください。

7.3.3.3. 例: 毎月払い

「例: 毎月払い」を再計算してみましょう。今回は財務計算機ではなく数式を使用します。 100,000ドルを30年間、4%の固定金利、毎月の複利計算で毎月払いにした時、毎月の支払額はいくらでしょうか?

最初に変数を定義します。 n = (30*12) = 360 、 PV = 100000、 PMT = 未知、 FV = 0、 i = 4%=4/100=0.04、 CF = PF = 12、 X = 0 (支払期間の終了時)。

第2ステップでは、表面利率(i)を実効利率(ieff)に変換します。 利率は離散的な毎月複利のため、次のようになります。 ieff = (1 + i/CF)^(CF/PF) - 1 = (1 + 0.04/12)^(12/12) - 1 = 1/300 = 0.0033333。

次は、AとBを計算します。 A = (1 + i)^n - 1 = (1 + 1/300)^360 - 1 = 2.313498。 B = (1 + iX)/i = (1 + (1/300)*0)/(1/300) = 300。

AとBを使って、PMTを計算します。 PMT = -[FV + PV*(A + 1)]/[A*B] = -[0 + 100000*(2.313498 + 1)] / [2.313498 * 300] = -331349.8 / 694.0494 = -477.415296 = -477.42。

答え: 毎月払い金額は477.42ドルになります。